書法永字八法とは万字に通じる書を学ぶときの基本。
永字八法はあまりにも有名ですが「永」の字の漢字の点と画をばらばらにし、横画・縦画・払い・止め・はね・折れなどの基本点画を分けます。
ご縁があり20年ほど前、当時中京区の東洞院三条に教室を構えられていた篆刻家で書家の先生のもと永字八法のその変化を併せた基本点画二十四法を約2年かけて学びました。先生のお稽古スタイルは職人そのもの。
おおよそ書道教室とはかけ離れていたということがふり返るとよく判ります。
点画は竟山流(きょうざんりゅう)の基本です。竟山流とは山本竟山という卓越した書家の系譜の流派でそのスタイルの基礎中の基礎、字の成り立ちを覚える習得法です。
山本竟山は岐阜に生まれ台湾から明治末期の京都に腰を据え日本書道界の重鎮、日下部鳴鶴など学び、のちに六朝風の格調ある楷書で名を馳せ流派を開設し比叡山延暦寺の「根夲中堂」「大谷本廟」「豊国神社」など揮毫。
京都に於ける有名社寺の門標の大字はほとんど竟山の筆によるもので神道闇齋学にも通じていたそうです。井上西山、木村陽山、水野惠先生以降、徒党化の動きがなく今はほとんど途絶えたようにも思います。
懸腕直筆を基礎に廻腕執筆法にという90度の角度の筆の使い方も徹底して学び一応楷書までお稽古をおさめましたが、展示会による多忙期と重なり通えなくなりました。
水野恵先生は、先生のお仕事で有名な近江八幡のたねやさん「種屋末廣」のお菓子のほとんどの揮毫やラコリーナCLUB HARIEの看板のロゴ、題字制作、奈良の元興寺の大和古印書体の印の製作、富岡鉄斎や橋本関雪の印譜集を手掛けられたり、奈良県天川村の新社殿に納める天河弁財天社の棟札を神託により使者が訪ねありしたためられたこともあるそうです。
辵璽林(ちゃくじりん)という先生、門下生の作品展「辵展」に4〜5回出展させていただいた際のお題「要」をテーマに僕の書いた点画二十四法の軸。
この時の書をみると力が入りすぎですけどこれがあって今がある…いやはや。
現在、ご縁を賜わり日本習字系譜の書道手習い中。
烏丸四条にお稽古場を構えられている先生から万葉仮名から基本点画、行書、隷書、楷書と工芸家ならおよそ学んでおいた方がいいのではないか?というところを念頭にゆるゆると実戦書道のお稽古をつけていただいております。
どこまでも道ということならフリースタイルが正解かもと段級制は選んでおりません。
ですが今月はコロナの影響でお稽古行けず…しばらく自習かなと思われます。
書の腕前は別にしても僕は染色家なので最低限書けなきゃ読めなきゃという思いでおります。