2022年の春に岡山県瀬戸内市所蔵、国宝「太刀無銘一文字(山鳥毛)」の帯の制作相談がありました。
結論から申しますと2022年の夏発表から年末年始まで製作に追われ、新着記事やホームページの更新もままならない程の反響を頂戴し大変光栄なお仕事になりました。
みなさまからの喜びの声のリプライに驚いております。
国宝太刀無銘一文字 号・山鳥毛、山鳥毛は「さんちょうもう」「やまとりげ」と読みます。
刃文が華やかで美しくまるで山鳥の羽毛に似ていることから呼ばれるようになったという説があります。
戦国武将「上杉謙信・上杉景勝」親子の愛刀として有名で昭和27年(1952年)国宝指定になった太刀です。
制作のオファーをいただき瀬戸内市所蔵へ到るまでのクラウドファンディングの話題や山鳥毛を活用した里づくり、地域プロジェクトとその事業を初めて知った訳ですが、山鳥毛の刀剣新商品開発プロジェクトの旗振り役としてアイリーミヤモトさんが展開、地域貢献の事業として是非に帯を制作したい!との想いをもって宮本社長様が工房へ訪ねて来られました。
アイリー様では以前きもの専門店のご商社さん経由のお仕事で2回の藤井浩展、1回の藤井裕也の作品展を開催していただいたご縁もありました。
ご相談は宮本社長と同世代の藤井裕也が担当。
過去にOEMで製作担当したオリジナル生地の開発やGOODS、アニバーサリーのきものアイテムの制作の記念品などのサンプル品の実例や実績をもとにお話しさせていただきながら、山鳥毛の刃文の美しさや地域貢献など意見交換がスタート。
刀剣の帯、、、素晴らしい国宝の美しさ。もし手掛けることになるとすれば中途半端では絶対に成立しない。
地域貢献のための町おこしへの想いと山鳥毛の里づくりへの情熱は理解出来ましたがその製作にはハードルが高く、コスト面しかりデザイン等どのようにまとめるのがベストなのかまったくの未知数、ゼロからの案件。
会社のお仕事としてはリスクが高く預かれないかと判断、藤井裕也個人の趣味の世界から興味深いテーマ・いつか学びたいと思っていた刀剣の入り口かと感じ研究、調査を始めたのです。
まずは山鳥毛を所蔵する瀬戸内市の備前長船刀剣博物館への取材へ。そこで大きな出会いがありました。
刀鍛冶、刀匠の安藤広康さんの登場です。
◆2023年3月14日更新(つづく)