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12.「てふてふ」舞ふ日

小春日和だった数日前、アトリエの庭の芝桜の花にやって来たアオスジアゲハが綺麗で写真を数枚撮りました。

今日は夏日とでもいうべき八十八夜(閏年換算)。
歌のとおり夏が近づいて来たんだなと思います。

SNSで何気なく「てふてふ」の写真を投稿したところなんだか皆さまの反応がよくブログ綴ってみようと思いました。

春とくれば秋。
昨年の秋、神無月の頃に撮った詩仙堂の藤袴の花の蜜を求めて飛来してきたアサギマダラの写真も添えてみます。
アサギマダラは海を渡り2000キロ以上も旅することで知られています。

秋にはコロナが終息していることを願って…再びあの景色が観れますように。

日本人は古来より蝶は魂が姿を変えたものだと考えていました。
古い日本語では蝶は「ひむし」と呼ばれました。
「ひ」とは「霊」本来の霊の意味は魂や生命力を意味します。

現代では蝶々(ちょうちょう)としか読まないけれど日本人が近年まで頑なに「てふてふ」と読み書きしてきた大切な言霊。


ハ行転呼により「てふてふ」の「fu」が「u」となり「てうてう」さらに「ちょうちょう」と変化した時代変化もまた超々(ちょうちょう)と掛け合わせても良いのかもしれませんね。

コロナ時代を超えていきましょう。


左・火垂りの手の手符、右・水極りの水の手符があわさった和合から「てふてふ」と読むといった類の話も有名です。


再生の象徴である蝶が好きで私の仕事、絞りのくくりの柄にテーマとしてよく用います。

プリミティブな染色技法である絞り染め。たまたま家業の主たる染色技法が絞りを用いることが多くその背景を自分でも掘り下げますが、仕事中は結びと産す霊を意識しながら作業に入ります。

プリミティブとは原始的、根源的、初期の、太古の、素朴という意味ですが絞りはその意味で原始的な染め技法。

括りという糸と布を結びほどき柄出しすることから産すんでひらいてを繰り返す中、作品にふと「てふてふ」が飛来します。必ず僕の作品に「蝶」がある訳ではないのですが大切にしている柄です。