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26.誰の差し金??

「てめえ、誰の差し金でい?!」のセリフの「差し金」。

 

敵を問い詰める場面でつかうこの差し金。時代劇のセリフです。

 

人形浄瑠璃で手を動かすために人形使いの腕の中に差し入れておく「細い鉄棒」のことを指すこともあります。

人形使いが黒衣に身を包んで操ったり、歌舞伎では釣竿のような竹が差し金を竿先に小道具の動物などを付けて黒衣が陰で操って動かします。

そのことから黒幕は誰であるのか詰問する際の言葉になりました。

 

この「差し金」ですがその昔この寸法を測ったのは、誰であるのか責任の所在を確認する大工の棟梁の言葉でした。
差し金は指矩とも書きます。
指矩はイコール曲金。単純に「かね」と呼ばれております。
かねはご存じ曲尺(かねじゃく)ですね。
大工道具としての指矩はL字型になっております。

曲尺1尺=30.3センチについては何度か綴っていることと東北地方で呉服の採寸といえば曲尺が基本。

曲尺の竹の2尺差しを展示会先の青森県の呉服店さまで見かけました。

メジャー鯨尺はいつも持ち歩いております。鯨尺(メジャー)と比較をしてみました。
鯨尺の1尺は曲尺の1尺2寸5分、曲尺の1尺は鯨では8寸。
鯨尺1尺=37.88センチ
曲尺1尺=30.3センチ
それを実際確認出来て良かったです。
SNSでこの話題を上げましたところYoutubeで桂米朝さんを聞いていたら「奈良の大仏さんと海の鯨が背比べしたら、かねの仏様の奈良の大仏が二寸五分高かった」と言うのがあったと思うのですが、コレですね』といったコメントをいただきました。
さすが米朝さん古典落語の真打、真骨頂!思わず唸りました。ただし、その落語を落とし込むと鯨の方が高かった…になるようなならないような。
さすが落語。
YouTubeで聴いてみます。

実は東北地方はかねとクジラの混在。

ひとくくりにはいきません。

岩手県の盛岡あたりまでは呉服の鯨尺圏。仙台もほぼクジラ。

曲尺圏は旧藩制では一部北海道の松前藩、東北では青森県の弘前藩、八戸藩、黒石藩、秋田県の秋田藩、山形県の庄内藩あたりだと思います。同じ山形県でも米沢はクジラが主流だと思います。

余談ですが縄文尺が約35センチだったそうです。
縄文文化圏と重なる独自の文化圏が今も残ってる東北地方、面白いと思います。